『典子44歳 いま、伝えたい』
2010年 11月 08日
白井のり子著(光文社)
子どもの頃、「典子は、今」という映画をみました。
登場するお姉さんは、両腕がなくて、
でも足で巧みになんでもこなす人でした
「妊娠中の薬のせい」
「サリドマイド」
そんな言葉も同時に記憶されました。
衝撃はあったと思うのですが、
画面で記憶に残っていたのは
列車で旅する時の、お弁当を食べるシーン。
確かサンドイッチだったと思うのですが、
典子さんが近くの席の人にこう言った場面
「食べさせてもらえますか?」
子ども心に衝撃的でした。
何が衝撃的?って
よくわからないのですが…、
記憶のすみにあるのは
画面の奥のほうに感じた緊迫感と、
「頼んでいいんだ」
「案外、やってくれるものなんだ」
ってことでした。
この時感じたものをもっと大切にしていれば、
“自立”ってなんなのか
そういうことにも、もっと早く気がついたかもしれません。
自分が何ができて何ができないのかを受け止め
たすけてといえること
そして「たすけて」と言える関係をつくることを。
読んでちょっと気が抜けたのは、
ドキュメンタリーだと思っていたあの旅のシーンが、
乗客がエキストラだったと知ったことでした。
えぇ〜っ…そうだったのか。
なぁんだ。
でも、たいした問題ではありませんが。
あの緊迫感は本当だったと思うから。
我が子の“自立”にむけても
色々考えさせられる一冊でした。